2022年07月16日

即清寺の施餓鬼会が終了しました。

 即清寺、の施餓鬼会が無事に終了しました。施餓鬼会は「餓鬼に施す供養会(くようえ)」ということです。餓鬼とは、餓鬼の世界でいつも飢えと渇きに苦しんでいる亡者です。食べ物や飲み水があっても、餓鬼が口に入れようとしたとたん、たちまち炎となってしまい、飢えの苦しみから解放されることがないのです。生前に自分の幸せだけを追い求めるあまり、自分が豊かであっても、自分以上に食べ物などを必要とする人と分かち合うことをせず、すべて独り占めするような人が、死後、閻魔大王の裁きにより、餓鬼道に落とされると言われています。そして餓鬼は、自分さえよければいいという生き方をしてきたため、他人から嫌われ、死後しかるべき供養も受けられないことから、迷いの世界から抜け出せないともいわれています。そのような餓鬼に飲食を施し、成仏を願い供養するのが「施餓鬼会」です。自分に縁のない餓鬼の成仏を願い、供養をすることで、法会の参加者は大きな功徳を積むことになります。
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 施餓鬼会はお釈迦さまの弟子の一人、阿難尊者(あなんそんじゃ)のエピソードがもとになっています。阿難尊者が坐禅をしていると、突然目の前に餓鬼が現れました。手足は針金のように細く、髪が逆立ち口から炎を吐く恐ろしい姿をした餓鬼は「三日たてばお前は死ぬ。そして私のような醜い餓鬼となるだろう」と阿難尊者に告げました。
 阿難尊者は驚き、お釈迦さまに相談しました。お釈迦さまは、「まず餓鬼のために供物を用意して供養しなさい。供養で唱える経や陀羅尼の力で餓鬼に与える供物は無量に増え、多くの餓鬼を救うことができます。ともに祈る僧がいるならば、そのための食事も用意し祈りを捧げてもらえば、功徳も増すでしょう。そして、施主となる者の寿命も延び、仏の道を悟ることができるでしょう。」答えられました。こうして、阿難尊者が餓鬼を供養したのが、施餓鬼会の始まりだとされています。
 このエピソードは、「救抜焔口餓鬼陀羅尼経(くばつえんくがきだらにきょう)」という経典に説かれています。お釈迦様の十大弟子として身近に仕え、お釈迦様の説法を最も近くで聞いたことから「多聞(たもん)第一」と称される阿難尊者が、なぜ餓鬼に脅かされるのか不思議でした。ただ、この餓鬼は、修行を積み重ねた阿難尊者の、心の奥深くに存在していた物欲があらわれたものと解釈できます。そして、施餓鬼供養の功徳により、阿難尊者は仏法の悟りに近づいたともいえます。
 また、満腹でもお菓子を見ると食べたがるように、子どもは欲望をコントロールできないことがあるところから、子どものことを餓鬼というようにもなりました。しかし、物欲がコントロールできないのは子どもに限ったことではありません。今年の即清寺の施餓鬼会は、寺役員と新盆のご家庭の方のみ、ご参加いただきました。しかし、コロナ禍から、人が集まることのできる日常に戻った時には、物欲の煩悩について反省する時間として、また、苦しむ餓鬼に祈りをささげて功徳を積む機会として、来年の施餓鬼会が大勢の方に参加していただき開催できることを願っています。
posted by 即清寺 at 15:10| Comment(0) | 日記

2022年07月12日

柚木町獅子舞

 10日は、久しぶりに柚木町の獅子舞が各家庭の無病息災を願い、地域を廻り歩きました。
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 コロナ禍で2年間お休みでしたから、本当に久しぶりです。
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 客殿から本堂まで、3頭の獅子が舞っていきました。
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 客殿大玄関で3頭の獅子が揃い踏みで舞を披露し、朝から地域内を回ってきた獅子舞が終了します。お囃子の柚木町梅花連の方々、暑い中本当にありがとうございました。
 また、13日からお盆に入ります。日々、縁ある方を見守って下さるご先祖さまが、ゆっくりと各家庭でくつろがれます。温かい気持ちでご先祖さまをお迎えください。
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 奥多摩町丹三郎の長福寺の施餓鬼供養は7月14日です。供養会の堂内参拝は檀家のご家族のみですが、前後の時間(8時30分〜9時30分頃、10時30分〜11時頃)は堂内で本尊、十一面観世音菩薩像を参拝していただけます。
 即清寺の施餓鬼供養は7月15日の13時30分から15時頃までとなります。今年の堂内参列も寺役員と新盆のご家庭のみとさせていただきます。ただ、13日から16日の間は本尊、不空羂索明王像がご開帳されていますので、施餓鬼供養会の時間以外は、堂内でご参拝いただけます。
 
 
 
 
posted by 即清寺 at 09:35| Comment(0) | 日記

2022年07月08日

七夕と仏教

 七夕の夜、即清寺は曇り空で、天の川を目で見ることはできませんでした。
 織姫と彦星の伝説で語られる七夕は、仏教とは関係ないようにも思えます。
 ただ、七夕の行事のもとになるといわれるものの一つに棚幡(たなばた)というものがあるようです。
 お盆の少し前にご先祖様をお迎えする精霊棚を用意し、目印となるように、幡を周囲に立てる風習が棚幡といわれたそうです。幡はお寺のお堂の天井から垂れ下がるひらひらとした布のようなもので、即清寺の本堂にも天井から下がっています。
 また、風が吹くと音を立てる笹の葉も、精霊棚の目印として、ご先祖様の御魂が依りつくようにたてられたとの説があります。
 即清寺の施餓鬼供養で飾られる棚は、この棚幡で飾られる棚がイメージできるものと思われます。七夕は夏の暑さが本番を迎え、お盆の準備を始める日ともいえるかもしれません。
 七夕の短冊にもコロナ終息をはじめ、さまざまな願いをこめられたことでしょう。
 7月10日には、疫病終息を願う柚木町の獅子舞も久しぶりに開催されます。
 暑い中ですが、願いが叶うよう、即清寺にもぜひお参りください。
posted by 即清寺 at 20:18| Comment(0) | 日記